「ADPと米労働省の非農業雇用者数」とは?
先週金曜日に米国労働省が雇用統計を発表しました。失業率も9.8%と前月より0.2%上昇しましたが、それよりも非農業部門の雇用者数(nonfarm payrolls)の伸びが事前予想の15万人を大きく下回る3万9千人だったことも大きなサプライズになったようです。

これには伏線があり、その2日前12月1日にAutomatic Data Processing,Inc.(ADP)が発表した全米雇用リポートにおいて、非農業部門の民間雇用者数(Total nonfarm private payrolls)の伸びが9万3千人と事前予想の7万人を上回ったことで、強気の見方が台頭した直後という事情もあったのかも知れません。
ちなみにADP社というのは、全米の会社の従業員の給与計算等のアウトソーシング先で、ADP社のホームページによれば、およそ55万社の給与計算を請け負っているようです。従って、ADP社の業務に基づく雇用リポートはサンプル数の多さから、信頼性が高いものとして注目されています。また、雇用統計の2日前という絶妙のタイミングで発表されることもあって注目度はかなり高まっています。ADP社がリポートの発表を始めたのは2006年4月からですが、データの計算は2000年12月から行っていて、その数字はホームページで確認できます。
では、ADPの非農業民間雇用者数と、米労働省の非農業雇用者数を比較してみましょう。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?12c2bvI1DkY
同じような動き方をしていますが、細かい動きが分からないので、ADPの数字を1.2倍にして重ね合わせてみましょう。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?32c2bvI1DkY
景気の下降局面の下げがADPの方がきついのは、ADPには政府部門の雇用が含まれていないからですかね。
では、月次の変化数を比べてみましょう。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?52c2bvI1DkY
ほぼ重なっているようですが、かなりかい離している月もあるので注意が必要ですね。ただし、2000年12月以来のデータを回帰分析すると、相関係数は0.94096というかなり高い数字になりますので、無視はしない方が良いですね。
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雇用統計のリスクをチャンスに変える
先週金曜日に発表された米国雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大幅に下回ったことから、ドル円は82円台半ばへ1円超の下落となりました。米国雇用統計は為替ディーラーにとって注目度ナンバーワンの指標で、いわば月に一度のお祭りのようなもの。結果が予想と乖離すれば値動きも荒っぽくなります。このため雇用統計の日はリスクを敬遠してトレードを控える人も少なくないでしょう。
しかし値動きが大きいということは逆に言えばチャンスも大きいということです。NFPと相場の動きに何らかの法則性を見つけられれば、われわれ一般の投資家も参加する価値は十分あります。
簡単にいえば、NFPの結果が市場の予想を大幅に上回ればドルが買われ、予想を大幅に下回ればドルは売られるはず。しかしどのくらいの乖離が「大幅」なのかを判別するのはなかなか困難ですし、NFP以外にも失業率や民間部門雇用者数などさまざまな指標が同時に発表されるため、強いか弱いかは総合的に見ないと判断できません。とは言ってもじっくり数字を分析してから相場に出ていくのでは売買のタイミングを逃してしまいます。
そこで、ディーラー的な目線から以下のような仮説を立ててみました。
■強い数字が予想されているときは期待値が高いので、結果が予想を上回ってもあまり上がらない一方、予想を下回った場合に急落するリスクが高い
■弱い数字が予想されているときは期待値が低いので、結果が予想を下回ってもあまり下がらない一方、予想を上回った場合に急騰する可能性が高い
この仮説が正しいとすれば、強い予想が出ているときにはNFPの発表前にドルショート、弱い予想が出ているときにはドルロングと逆張りで待っていれば有利ということになります。強い予想と弱い予想を絶対値で色分けするのは難しいので、「当月の予想が前回の実績を上回っているかどうか」のみで判断することにします。このロジックを使った寄り引けトレード(東京朝エントリー、NY引けでエグジット)を過去3年にわたって検証してみました(ちなみに手作業です・・・)。NFPの結果は確報ではなく修正前の最初の数字を使っています。さてどうなったでしょうか。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?d2c2bvI1DkY
検証の結果は20勝16敗と勝ち越したものの、トータルの損益は+0.29円と微妙・・・。ただストップロスやOCOオーダーを活用すればもう少し向上するかもしれません。またこのロジックをそのまま実行しないまでも、雇用統計に臨むにあたって「市場の期待値」をひとつの指針として考えるのは悪くないアイデアだと思います。
雇用統計の発表直後は往々にしてめまぐるしい動きになりますが、このように行動指針さえはっきりしておけばそう怖くはありません。次回雇用統計の発表は年明け1月7日。新年の運試しも兼ねて、ひとつ積極的に参戦してみてはいかがでしょうか。
ロイター調査によると、5日に発表される11月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が30万人超減少する見通し。消費者や企業の需要落ち込みを受け、コストカットの一環として人員削減を行う企業が増えたとみられている。エコノミスト76人の予想中央値は、非農業部門雇用者数が34万人減。減少なら11カ月連続の雇用減となる。10月は24万人減だった。